ロンドンのタワーマンション炎上から見る日本の火災対策とは

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ロンドンの西部公営住宅で2017年6月14日未明に24階建てのタワーマンション『グレンフェル・タワー』で出火。タワーマンションの全体が燃えるほどの大惨事となり6月15日時点の死亡者・行方不明者は79人となっている。なお残念な事に行方不明者が多数いることから、犠牲者の数は今後も増えていくと見られています。

 

出火の原因は?

 

詳しい出火原因については諸説あり、未だにはっきりしていません。4階の冷蔵庫が爆発したという証言もありますが、本当のところは分かりません。これからの調査で徐々に真相が明らかになっていくでしょう。

 

しかし出火元は執筆段階ではわかりませんが、ここまで建物全体に火の手が上がった原因については見えてきました。

 

火災に詳しい専門家が言うには出火してからわずか15分足らずで建物全体に炎が行き渡った事、火災の映像を見ると炎が外壁を伝って上階に燃え移っているように見える事

 

以上の2点から燃え易い素材が壁に使われていたのでは?というのが今のところ有力な説になっています。

 

さらにこんな話もでてきました。

グレンフェル・タワーは1974年に建設された古い建物。そして火災発生の1年前である2016年の5月に大規模修繕を終えたばかりでもあります。

 

しかしマンション住民から不完全な工事だとの声が上がっていた。この改修工事の問題点を挙げてみます。

 

問題点1 スプリングラーの設置がされていない

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イギリスでは2007年以降の建物で、高さ30m以上のものにはスプリンクラーの設置が義務付けられている。しかしながら既存の建物に関しては義務付けがされておらず、グレンフェル・タワーも2016年の改修工事では設置されませんでした。

 

問題点2 防火壁が使用されていない?

防火壁とは火災の延焼を防ぐ役割の壁。しかしながら改修工事の計画書には防火壁に関する記述がなかったとのこと。改修を担当した建設会社ライドン・グループは「順守すべき建築規制、防火法規、安全衛生基準を全て満たしている」と言っています。結局防火壁は取り付けられたのかどうか気になるところです。

 

問題点3 外壁には燃え易い素材が使われていた?

英メディアによると、改修工事の計画書では、見た目重視の建物にすることが強調されており、外壁の表面では燃え易い樹脂が使われていた模様。これにより今回の大規模火災につながったのではと現地警察当局は見ています。

 

いすれにせよ詳しい出火原因と、どういった内容の改修工事がされていたのか、更なる原因解明の為の調査に力を入れて欲しいところです。

 

ではここ日本ではこのようなタワーマンションの火災が発生する可能性があるのでしょうか?この惨状をみると不安になる方も多いかと思います。

 

日本でタワーマンション炎上が起こりえるか

日本では建築基準法や消火法による防火規制が厳しく、今回の火災のような、建物全体が燃え盛る可能性は極めて低いと考えるのが大方の見方だ。

 

スプリンクラーに関しても、はしご車が届かない11階建て以上の建物には設置が義務づかれている。また出火元から火が広がらないように、シャッターや扉で区切って防ぐしくみとなっています。

また過去の教訓から外壁に燃え易い部材は使わないことを徹底しています。

 

以上のことから総務省消防庁の予防課担当者が言うには日本国内でタワーマンション火災が起きたとしても、一室で済むとのことです。

 

しかしこれはあくまで油断はできません。あくまで専門家の見解です。今回の火災を教訓に、火災対策を徹底していく必要があります。たとえ設備が万全でも、住民の意識が低ければ、火災発生時に逃げ遅れる人も出てきます。個人でできることとして避難経路の確認を事前にしておきましょう。

 

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