タワーマンションは地震で折れたり倒壊する?避難方法から地震対策・保険まで徹底解説
地上200mにもおよぶ高層タワーマンション。
平時は憧れの高層タワーですが、地震によって折れたり倒壊する恐れはないのでしょうか?
また地震の際には、高層階からどのように避難するのか気になりますよね。
そこで、
■地震に備えるタワーマンションの構造
■タワーマンションの地震対策と避難方法
■タワーマンションの地震被害に備える保険
について解説します。
タワーマンションに住むことを検討しているけれど、地震などの災害が心配…
という人はぜひ参考にしてください。
地震に備えるタワーマンションの構造
タワーマンションは、地震で折れたり倒壊するリスクは低いとされています。
その理由は、タワーマンションを建築する際の
1.新耐震基準に基づく設計
2.国土交通大臣の認可
3.耐震構造
にあります。
1.新耐震基準に基づく設計
地震大国日本では、過去に大きな地震に何度も見舞われています。
その度に建築基準法などが見直され、新しい耐震基準が適用されてきました。
現行のコンクリート造の建物には、大きく1981年以降の建築基準法に定められた「新耐震基準」が適用されています。
「新耐震基準」によって建てられた建物は、1995年の阪神・淡路大震災でも被災が少なかったというデータが出ています。
タワーマンションの多くは1981年以降に建てられています。
そのため、震度6〜7級の大地震を想定した安全基準に基づいて設計されています。
2.国土交通大臣の認可
地上60m以上の高層タワーマンションを建築する際は、
・地震が起きた際の建物の揺れ
・地震の際のエレベーターの強度や安全機能
など、建物の構造強度や防災設備に厳しい条件が設けられています。
さらに厳しい安全基準をクリアしていることを、国土交通大臣に認定してもらう必要があります。
一般の戸建てやマンションよりも、タワーマンションの方が、地震に対する安全基準は厳しくなっているのです。
【関連記事】タワーマンションの定義とは何階建て以上?国土交通大臣の認可とは
3.耐震構造
タワーマンションには、3種類の耐震構造があります。
1.耐震構造
地震エネルギーを建物自身で直接受け止め抵抗する工法。
地震の際、建物が倒壊しないことを目的としている。
高層階ほど揺れは長く大きくなり、室内の家具等の移動・転倒は起きやすくなる。
2.制震構造
制震装置(ダンパー)を各階の柱や壁に組み込み、地震エネルギーを吸収して振動を減衰させる工法。
高層階ほど揺れは長く大きくなるが、耐震構造より揺れ幅は小さい。
3.免震構造
免震装置を建築物の基礎下や中間階に設け、地盤から伝わる地震エネルギーを免震装置で吸収し大幅低減する工法。
制震構造よりもさらに、建物の揺れを減らせる。
地震の際に建物が倒壊しないだけでなく、室内の家具等にも移動・転倒がないことを目的とする。
最新の耐震工法だが、建築費・定期メンテナンスなどの維持費ともにコストが高くなる。
また大規模な長周期地震の際は、揺れをあまり軽減できない可能性も指摘されている。
タワーマンションの地震対策としておすすめの工法は、建物倒壊のリスクも低く、揺れも抑えられる「制震構造」です。
また「免震構造」は3種類の中では最新の工法で、建物の倒壊リスクも揺れも最小限に抑えられることを想定しています。
しかし「免震構造」は、大規模な長周期地震が起きたときは、建物の揺れをさほど軽減できない可能性も指摘されています。
実際に2011年の東日本大震災では、東京や大阪など、遠隔地の高層タワーマンションで大きな揺れが観測されました。
長いところでは、13分間も揺れ続けていたタワーマンションもあったそうです。
そのため最近では、「制震構造」・「免震構造」の両方を組み合わせたタワーマンションもあります。
また「耐震構造」でも、強固な地盤に建設されている場合は安心です。
タワーマンションを選ぶ際は、
■「制震構造」か「免震構造」、もしくはその両方を採用
■「耐震構造」でも強固な地盤に建設されている
ものを選ぶと、地震の際も安心でしょう。
▼地震に強い東京のタワーマンションの例
●ザ・トウキョウ・タワーズ(制震構造)
●ブリリアマーレ有明&ブリリア有明スカイタワー(制震構造)
●品川ワールドシティータワーズ(制震構造)
● シティタワーズ豊洲(耐震構造、地盤強固)
タワーマンションの地震対策とは?高層階はどうやって避難する?
地震が起きると、エレベーターは緊急停止し、場合によっては停電や断水も起こります。
10階ぐらいまでの低中層階なら、階段で昇り降りできますが。
タワーマンションの最上階ともなると40階以上・高さは地上200mにも及ぶため、階段で避難するのは困難です。
タワーマンション高層階に住む場合、地震の際はどのように避難すればよいのでしょうか?
ここからは、タワーマンションに備わる地震対策の設備や、避難方法をご紹介します。
エレベーターの閉じ込め防止装置
地震で心配なのが、揺れを感知して停止したエレベーターに閉じ込められること。
しかしここ20年ぐらいに建ったタワーマンションのエレベーターには、地震時管制運転装置がついています。
地震時管制運転装置は、地震の揺れを感じるとエレベーターを最寄り階に停め、扉を開けるシステムです。
そのためエレベーターに閉じ込められるリスクが低くなります。
タワーマンションを選ぶ際は、エレベーターに地震時管制運転装置がついているか確認すると安心です。
非常電源
タワーマンションには、停電時に備えて非常電源が備えられています。
非常電源の容量は、一般的には24時間分。
2011年の東日大震災以降は、72時間分が主流になっています。
非常電源によって、停電時でも最小限のエレベーターが動いたり、水道やトイレの使用などが可能です。
非常電源の容量はタワーマンションによって異なるので、選ぶ際にパンフレットなどで確認するのがおすすめです。
防災用備蓄品
タワーマンションには、住民用の防災用品が備蓄されていることも多いです。
・簡易トイレ
・防寒用アルミマット
・保存食
・飲料水
など、最低限の防災用品が備蓄されています。
ただしマンション共有の備蓄品は、数にも種類にも限りがあります。
各家庭で、必要に応じた防災用品を備えておくことが大切です。
ヘリポート
地上100m(=約20階)以上の建物には、防災設備としてヘリポートの設置が義務付けられています。
万が一地震でエレベーターなどが使えず、自力でタワーマンションから出ることが難しくなっても。
屋上のヘリポートに自衛隊や救急のヘリコプターが着陸できるため、スムーズに避難することができます。
タワーマンションに地震保険は必要?
地震に強い構造で建設されているタワーマンション。
古い木造住宅などに比べると、地震による建物や家財被害は少ないかもしれません。
しかしタワーマンションでも、地震被害に備える地震保険に加入しておく方が安心です。
地震保険の加入率は増えている
地震保険は、火災保険にセットで付帯することで加入できます。
2019年の火災保険契約数に対する地震保険付帯率は、66.7%。
火災保険を契約している人の、約7割弱が地震保険に加入していることがわかります。
また地震保険付帯率は、2010年度の48.1%に比べると約10年で20%近くも増えています。
地震保険の必要性は、年々認識されていると言えます。
揺れやすいタワーマンションは、家財を守る地震保険が安心
構造上、地震に強いとされているタワーマンション。
地震によって、柱や梁、窓などの建物部分が壊れる可能性は低いかもしれません。
しかしタワーマンションは、地震に耐えるために揺れやすい構造になっています。
揺れを抑える「免震構造」のタワーマンションでも、長周期地震の揺れには弱いとされています。
大きな揺れによって、大切な家具や家電が動いて傷ついたり壊れることもあります。
地震保険は建物だけでなく、家財にもかけることができるので安心です。
【関連記事】タワーマンションで地震保険に加入すべきどうかメリットデメリットを挙げて検証!
まとめ
タワーマンションは、建築基準・構造・地震対策の設備や避難方法など、高い安全性が確保されていることがわかりました。
しかし未曾有の災害は、何が起こるかわからないもの。
防災用品は各自で備え、地震保険への加入で被災に備えることが大切です。
ご紹介した耐震構造・制震構造・免震構造などのタワーマンション構造や。
エレベーターの管制運転装置の有無、非常電源の容量などを確認し、地震の際にも安心なタワーマンションを選んでください。